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福津・津屋崎「藍の家」、120周年で町の歴史伝える展示 民具や引き札など

「藍の家保存会」前代表の柴田富美子さん(左)と現代表の古閑由美さん(右)

「藍の家保存会」前代表の柴田富美子さん(左)と現代表の古閑由美さん(右)

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 建築から120周年を迎えた津屋崎千軒民俗館「藍の家」(福津市津屋崎4、TEL 0940-52-0605)で現在、津屋崎の歴史を伝える展示が行われている。

「藍の家」の様子

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 1901(明治34)年に染物店を営む上妻(こうづま)家の住居として建てられた同館。1992(平成4)年に老朽化に伴い取り壊す予定だったが、数年にわたって行われた地域住民らの働きかけにより行政も賛同して保存することになり、現在は地域の歴史や文化を伝える拠点となっている。

 「藍の家保存会」前代表の柴田富美子(とみこ)さんは「上妻邸を取り壊す話が出たときは、何とかして津屋崎の街並みを残したいと奔走した。その結果、徐々に協力者が増え、行政も動かすことができた。2007(平成19)年に福津市第1号の国の有形文化財に登録されたときは、家を無償で提供していただいた上妻さんに『これだけの価値がこの家にはあった』と報告でき、うれしかった」と当時を振り返る。

 5年前に同会の代表を引き継いだ古閑(こが)由美さんは「私たちの意義は『津屋崎の歴史を次に伝えていく』こと」と話す。福津は近年新興住宅街も増えたことで市外からの転入者も多く、津屋崎の歴史を学ぶため児童らが授業で訪れることもあるという。「今後は地域文化の掘り起こしや『藍の家』に象徴される津屋崎千軒の歴史を伝える役割を担っていきたい。津屋崎の人々が生きてきた歴史への敬意を失わず、これからも伝えていくことができれば」と抱負を話す。

 昨年8月に建築120周年を迎えたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響でイベントが延期に。同館では現在、記念イベントとして明治末期~大正の暮らしを伝える民具や当時、津屋崎で配られた引き札(ひきふだ=広告物)、うちわなどを展示している。

 3月19日には、国の有形文化財登録時に尽力した長崎総合科学大学工学部の山田由香里教授の講演、4月23日には九州大学の藤原惠洋名誉教授による講演のほか、「まちあるきワークショップ」も予定する。いずれも予約不要。

 古閑さんは「保存状態の良い、鮮やかな色合いの引札やうちわを間近で見ることができる。ぜひ見に来ていただき、津屋崎の歴史に触れてもらえれば」と来館を呼び掛ける。

 開放時間は平日、土曜日10時~16時。日曜日10時~17時。展示は3月27日まで。

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