![店主の荒巻和彦さん。「種類は増やさず、一つ一つがおいしいと思ってもらえるよう、自分なりにレベルを上げていきたい」と話す](https://images.keizai.biz/munakata_keizai/headline/1670375962_photo.jpg)
福津・西福間のパン店「ARAN BAKERY(アランベーカリー)」(福津市西福間2)がオープンして11月21日で半年がたった。
「スコーン」やフランスの伝統菓子「カヌレ」も用意。スコーンは3日間低温発酵させることで、パンのようなしっとりとした食感が味わえる
パン作りが趣味だった店主の荒巻和彦さんが食品メーカーの取締役退任を機に始めた同店。「これからのことを考えた時に、無理のない範囲で夢中になれることをしたかった」とパン店の開業を決め、自宅の庭に店を構えた。
店頭にはバゲットやッペなどのハード系のパン、あんパン、クリームパンなどの菓子パン、食パン、スコーンフランスの伝統菓子「カヌレ」など常時30種類ほどを並べる。一番人気の「焼きカレーパン」は、料理を作ることも好きな荒巻さんが家族に振る舞っていた「グリーンカレー」が好評で、パンとも相性が良かったことから取り入れた。タケノコ、ズッキーニ、ナス、パプリカ、青唐辛子、鶏肉などがゴロゴロと入ったココナツミルクベースのカレーで油で揚げないのも特徴だという。
1年の準備期間中にはさまざまな小麦粉で試作を繰り返し、きめ細かいパンに仕上がる北海道産にたどり着いた。このほか、趣味でパン作りをしていた時から作り続けているレーズンとレモンがベースの自家製酵母液や、きび砂糖を使うなど原材料にもこだわる。通常ベーキングパウダーで膨らませるスコーンも酵母液を使って低温発酵することで「パンのようなしっとりとした食感が味わえる」という。「自家製酵母液での発酵は思い通りにいかないこともあるが、そこが面白い。自分にはパン作りの教科書もなく、修業もしていないので『失敗して当たり前』と思いながら、少しずつ知識を積み重ねてきた。半年たって、ようやく自分なりに分かってきた部分もあり、毎日が充実している」と笑顔を見せる。
11月からは市内のコーヒー店「Withcoffee(ウィズコーヒー)」(中央6)で提供するホットサンドに同店の食パンが使われている。ウィズコーヒーの店主が同店に通っていた縁で実現したという。
食品メーカーに務めていたことから、「食事として食べるパンを提供したい」という思いも持つ荒巻さん。「パンを菓子として食べることが多いと思うが、『食に合わせたパン』を作るのが理想。いずれは、ハード系の焼きたてパンとワインを提供する『バル』など、パンと料理が楽しめるような店もできたら」と思いを話す。
営業は木曜~日曜の11時~18時。駐車場4台。