津屋崎のフリースクール「学校たねの木」(福津市津屋崎1)が開校して4月で1周年を迎えた。
「子どもと大人で共に作り、育ち合うこと」を大切にし、昨年4月に開校した同校は、子どもだけが登校するのではなく、大人も一緒に活動する。同校を主宰する都郷(とごう)なびさんは「当初は梅干しや漬物などを皆で作り、できたら分ける『台所仕事』をする場を作ろうと思っていた。一方、長男の特性上、子育て中になかなかスムーズにいかないことも多かった経験から、子どもを社会に合わせるのではなく、子どもに合う学び場の必要性を感じた」と振り返る。子どもの特性と自身のやりたいことを掛け合わせた結果、「生活の一部分を異世代と一緒に過ごすフリースクール」の開校に至ったという。「学校」と名付けたのには、登校する子どもたちに「『学校に通えている』という安心感を持ってほしい」という都郷さんの思いも込める。
登校日は火曜と金曜。火曜は校舎となる「日々の家」に集まり、その日の予定を皆で意見を出し合い決める。金曜は福津市内の田畑の開墾を通して土中環境や生態系について学ぶなど、自然の中で過ごす。賛同する地域の運営ボランティアなどから知恵を借りながら、手仕事を共に行うこともあるという。
現在は市内外から7人の小・中・高校生とその親が個々のペースに合わせて通う。登校し始めてから明るくなった子どもも多く、「家でもよく話すようになった」という親の声も聞くという。
「季節ごとに自分たちの手足を動かして、大人も子どもも楽しく過ごすことを積み重ねてきた。私自身も楽しい」と都郷さん。「これからも変わらず続けていきたい。『フリースクールに通う』という子どもの選択肢が広がるよう、社会側の環境も整えていくことができたら」と抱負も話す。