宗像の旬の農作物を使ったコンフィチュール工房「メゾンスワロー」(宗像市平井1)が営業を始めて、6月12日で3カ月を迎えた。
店主の相部麻里さんは、食品メーカーで食育に関する仕事に携わってきた経験を持つ。結婚・出産を機に退職し、宗像に転入。それまで宗像に縁はなかったが、季節感あふれる食材が並ぶ「道の駅むなかた」(江口)に魅了されたという。
調理方法を調べたり、珍しい品種を食べ比べたりしながら宗像の農作物に親しんでいくにつれ「宗像の農作物の魅力を広めたい」という思いが芽生えた。模索する中で、素材そのものを消費者へ届けることができる「コンフィチュール」に可能性を感じ、開業を決意。市内に工房を構え、準備を進めてきた。管理栄養士の資格は持っていたものの、これまで製造経験はなかった相部さん。試作には約1年を費やし、3月に販売を始めた。
相部さんが作るコンフィチュールは果実の風味や食感が味わえるのが特徴。果物に含まれるペクチンのみで煮詰めるため、味も濃厚だという。完熟した果物や規格外の青果なども活用し、フードロス削減にも取り組んでいる。
現在のラインアップは「黒豆」「キウイフルーツ(ヘイワード)」(以上、60グラム=520円~)、イチゴ「あまおう」「さちのか」(以上、同=630円~)、「桃薫(とうくん)」(同=730円)の5種。イチゴ3種(あまおう、さちのか、桃薫)の「食べ比べセット」(各60グラム=1,840円~)も販売する。季節ごとに種類も変え、今後はマーマレードも加える予定。相部さんの「お薦め」は通年販売の黒豆のコンフィチュール。「カラダ生きるみきふぁーむ」(吉留)で生産する原種丹波黒豆にビート糖と黒ゴマを加えたもので、餡(あん)のような食感だという。
開業までの道のりはインスタグラムで積極的に発信。全国各地のジャム店からアドバイスや応援メッセージをもらったことが原動力になったほか、宗像の農家や消費者とつながるきっかけにもなったという。
「親世代から引き継いだ同世代の農家とつながり、開墾の歴史を聞く中で地域への愛や思いを感じることができた。地域、取引先、お客さまの役に立つことで恩返しをしていきたい」と相部さん。「宗像の農作物を『made in munakata(メードイン宗像)』の加工品として付加価値を付けることで新しい品種の認知度が高まり、青果の購入にもつながれば。菓子製造、漬物製造の許可も取得しているので、さまざまな形で宗像の魅力を発信していきたい」とも。
コンフィチュールは工房での販売は行っておらず、「パンのはるきち」(同)、「道の駅むなかた」、「ネオラログイン」(福津市宮司浜2)内の「アンドネオラ」のほか、県内のマルシェなどで販売。マルシェの出店予定はインスタグラムで知らせる。