宗像・大島の廃業を余儀なくされる事業の承継に加えて、地域資源を活用した新たなビジネスに取り組んでいく「宗像大島創生合同会社」(宗像市大島)が設立されて、5月12日で1カ月がたった。
同社は、地域を活性化させ地方衰退の解決に向けた新たな可能性を開くことを目指す。代表の糀屋総一朗さんは「当社を設立する決心をしたのは、3年半前に大島へ足を運んだときの経験が大きく影響している。大島の魅力に触れつつも、高齢化と事業を承継する若手が島に戻ってこないために起きている地方衰退の問題に直面し、その解決策を模索する過程で『地域循環経済を広げて充実させる』ことが必要という考えに至った」と振り返る。
大島では古くから漁業が主産業で、多くの島民が漁業に就いていたが、現在は人口が減少。民宿は約10軒ある中、大半が高齢の経営者のため、急な病気やけがなどで休業せざるを得ないケースが散見され、高齢化によって産業衰退が課題になっているという。
同社は島内の宿「MINAWA」の運営のほか、「宗像大島はりこ」の制作、大島のイノシシを使った犬向けおやつ「島素材」の製造など、これまで大島で展開されてきた事業なども継承。後継者不足をはじめとした大島の「産業消滅」に関わる問題の解決も図っていくという。
「当社は地域の方々に資金を出していただいて地域事業をつくり、継承することを通じて大島の魅力を向上させながら、地域経済の循環を目指している。これにより、雇用の受け皿を増やすだけでなく、配当を地域内に循環させることも可能になり、1人当たりの所得を増やすことができる。併せて、島民としての誇りや自負心が徐々につくことで地域への関心も高まり、『大島で事業を始めてみたい』という人が一人でも生まれることを信じている」と糀屋さんは話す。