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鞍手・新北に酒と漬物販売店 祖父母の味受け継ぐ

店主の森彩佳さんと母の文子さん

店主の森彩佳さんと母の文子さん

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 「MORINOKURA(もりのくら)-お酒と漬物のお店-」(鞍手町新北)が鞍手・新北にオープンして、5月27日で1カ月がたった。

店舗外観

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 2年前、竹林だった土地を自分たちで開拓することから店づくりを始めた同店。店主の森彩佳(さやか)さんは「土地はあったが、活用されていなかった。剣岳の麓の気持ちの良い場所なので、ここで店を持ちたいというのは、ずっと前から考えていた」と振り返る。

 森さんの家では元々、畑でたくさんの野菜を育てていた。「父が酒の卸と小売りをしていて、蔵元の質の良い酒かすが仕入れられるので、自分たちの作った野菜を漬物にして販売しようと考えた。漬物は祖父母が作っていたので、それを習いながら4年ほど前から作り始めた」と森さん。最初は産直市場などで販売し、売れ行きが好調だったので、自分たちの畑近くの直売所として店を開いた。

 森さんお薦めの「うりときゅうりの奈良漬」(570円)は自社農園で育てた野菜を大吟醸の酒かすで漬けたもの。「漬物づくりは野菜と酒かすはもちろん、水も重要。井戸を掘って、剣岳の湧き水を使っている」と森さん。鞍手町産の山田錦を100%使って醸造した純米大吟醸酒「東洋美人」(720ミリリットル=3,300円)を使った手作りの「酒まんじゅう」(140円)も同店の名物になっているという。日本酒は種類豊富にそろえる。酒と漬物のほかにも、畑で収穫した旬の野菜や、それを使った昔ながらの味の総菜やスイーツも販売する。

 共に店を切り盛りする森さんの母、文子(あやこ)さんは「父母の味を受け継ぎたいという気持ちがあった。農業も漬物づくりも後継者が少ない。世代を超えて大人から子どもへと受け継ぎ、残していけるものは残して、新しくするものはしていくという気持ちが大切。店やロゴのデザインも、それを意識している」と話す。

 森さんも、高齢化と後継者不足で、農業も漬物づくりもなくなりつつあることに危機感を抱いているという。「野菜や漬物を作ることが好きだが、周りにそういう若い人はあまりいない。トラクターで畑を耕していると、周りの農家さんから『うちの畑の跡も見てもらえないか』と声をかけられることも多い。これから会社を大きくして、若い人をもっと巻き込んでいけたら」と意気込む。

 「自分たちで育てた野菜を大切にしたいので、漬物や総菜に加工して販売することで、廃棄が出ないようにしていきたい。この店は景観もゆったりしていて居心地の良い場所なので、今後は買い物して帰るだけでなく、買ったものを食べられるよう、店の外にベンチなどを設置できたら」とも。

 営業時間は10時~18時。日曜定休。

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