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ニュータウンのシンボル、再生なるか。日の里大通りが動き出す

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提供:宗像市役所 制作:宗像経済新聞編集部

~宗像市日の里地区『住宅団地再生事業』が描く、新たなまちの風景~

日の里地区がニュータウンとして輝かしいスタートを切って約半世紀。「CoCokaraひのさと」や「ひのさと48」の誕生など、先進的に「団地再生事業」を進めてきた宗像市が次に着手するのは「日の里大通り」の活性化。この冬、ある社会実験を計画しています。日の里の未来の日常を、みんなで創り出す物語のプロローグです。

第1章(過去~現在):日の里大通りから見る、まちのこれまでとこれから。

1970年頃の日の里大通り(造成工事後)(写真提供=宗像市)

丘陵地だった日の里地区が住宅地として竣工されたのは1971年。UR都市機構の前身である日本住宅公団が開発を手がけ、当時、九州で2番目、福岡県下最大級のニュータウンとして注目を集めました。まちびらきのシンボルとなったのはJR東郷駅へ続く直線約1300メートルの「日の里大通り」です。この通り沿いに高層アパートが建設され、戸建てが立ち並び、商店が軒を連ね、賑わいある日の里を形作っていきました。

1975年頃の日の里大通り(高層アパートが完成した頃)(写真提供=宗像市)

しかし、ピーク時は14,000人いた人口も、まちびらきから約20年後の1993(平成5)年をピークに減少をはじめ、2002(平成14)年には高齢化率が市内平均を上回るほど住民の高齢化が進み、空き家や空き店舗も増え、全国各地のニュータウンと同様の課題が浮き彫りになってきました。

そんな中、東郷駅前の建物が長く空き店舗になっており、地域住民から「まちの顔たる駅前がこんなに暗いのは何とかしなければ」「住民みんなが集える場所にできないか」という要望が挙がり、行政と地域が協議を重ね2016年、「CoCokaraひのさと」がオープンしました。

NPO法人まちづくり宗像(CoCokaraひのさとの運営団体)代表理事の中川眞一さん(左)と初代館長の木村秀子さん(右)

住民の声からスタートしたプロジェクトは他にもあり、まちびらき50周年を前にまちの記憶を保存しようと「ひのさと記憶プロジェクト実行委員会」が発足。2017年から日の里の住民へ取材を重ね、懐かしい写真の収集などを行いました。そして2022年、「ニュータウンのあの頃とこれから日の里団地1971~2021」を出版するに至りました。プロジェクトの発起人で初代「CoCokaraひのさと」館長の木村秀子さんにお話をうかがいました。

―「日の里記憶プロジェクト」の活動を通じて、特に印象的だったエピソードを教えてください。

木村さん:やはり「日の里まつり」の立ち上げエピソードでしょうか。ニュータウンだからこそ「故郷をもたない子どもたちのために地域の祭りを作ろう」と声が上がり、200人もの実行委員が集まったとか。実行力のある人材が集まったので、その年のうちに開催に漕ぎつけ、大通りを通行止めにして、各丁目ごとにパレードをして順位を競ったそうです。

1970年代の日の里まつりの様子(提供=ひのさと記憶プロジェクト実行委員会)

―プロジェクトを通じて、日の里はどんなまちだと感じましたか?

木村さん:日の里の歴史を紐解いていくと見えてくるのは「カリスマがいないまち」という興味深い点です。たった一人のカリスマがまちづくりを引っ張るのではなく、どの時代にもキーマンとなる人が何人もいて、多くの人が主役となって、それぞれの立場で、それぞれの持ち場で動くことで、まち全体が作られてきた歴史があります。

―今回の「大通りの社会実験」について、どんな期待がありますか?

木村さん:「CoCokaraひのさと」が誕生したことで駅前の課題が1つ解決し、いよいよ大通りの課題解決が本格化することを楽しみにしています。個人的には日の里大通りがセントラルパークのようになり、子どもからお年寄りまで誰もが気軽に出てこられる場所になってほしいと願っています。今までのように住民の意見をどんどん出して、「あったらいいな」と思うものをみんなの力で作っていけたらいいと思います。

第2章(現在):『あったらいいね』がカタチになる。官民連携で描く新たな日常。

常に「住民主体」でまちづくりを進めているのが、日の里の大きな特徴です。そして、もう一つの大きな特徴が「官民連携」です。住民ワークショップを多数開催しており、その中で「路線バスの廃止が決まったが車もないので困る」という意見を受けて2021年3月、代替交通手段を確保するためオンデマンドバス「のるーと」の実証運行を決めたのも、日の里地区が市内初でした。

東郷駅前に停まるオンデマンドバス「のるーと」

他にも、日の里団地東街区の一部住棟の解体と売却が決まった際には「ただ宅地にするのではなく、住民が集える場所にしてほしい」という意見が住民から出たことから、西部ガスや東邦レオといった民間企業が宗像市と連携協定を結び2021年、かつての団地1棟を地域の生活利便施設「ひのさと48」にリノベーションしました。また、緑豊かな共用の庭「サトヤマ」が特徴の戸建て住宅エリア「さとのはhinosato」も2022年、誕生しました。

生活利便施設「ひのさと48」の外観(写真提供=宗像市)

なぜ民間企業が参画するのか。官民連携だからこそ実現できることは何か、その意義を西部ガス・まちづくりソリューショングループの原いくみさんに聞きました。

―なぜ宗像市と連携し、日の里のまちづくりに参画することを決められたのでしょうか?

原さん:弊社ではこれまでも地域貢献という企業理念に基づき、デベロッパーや行政の課題解決として、団地管理業務やイベントの開催、まちの維持管理活動などを通じて地域コミュニティの形成のサポートまで担う「タウンマネジメント」事業を推進してきました。そういった経験をさらに生かしていきたいと考えていたタイミングで、日の里団地での「団地再生事業」を知りました。

―参画から5年。ひのさと48はどんな場所になっていますか?

原さん:コンセプトとして「地域の会話量が増える場所」と位置づけています。コミュニティ・カフェは利用者の8割強が常連さんという現状で、「いつも●曜日に来る〇〇さん」のように、地域住民の皆さんの日常生活に組み込まれている印象です。従業員もお客さんも、お互いに顔の見える関係が出来上がってきているので、体調を気遣ったり、小さな困り事を助け合ったりする光景も日常です。小学生は小学生だけで遊んでいた子どもたちも、最近は小さな子やその場に居合わせた大人と一緒に遊ぶ様子があり、世代を越えた交流が自然発生する場所になっています。

「みどりtoゆかり日の里」の外観(写真提供=西部ガス)

―民間企業がまちづくりに参画する難しさもあったかと思いますが

原さん:弊社が関わるずっと前から、日の里の住民の皆さんはまちづくりに並々ならぬ熱意をもたれていて、地域への愛着とプライドがすごい!と率直に感じています。そういった地域の歴史、住民の皆さんのポテンシャルの高さに助けられ、新参者の私たちも受け入れていただき、むしろ日々、後押しをいただいていると感じています。

―この事業を通じて、どんな未来を実現したいですか?

原さん:誰もが安心して年を取れるまちになったらいいな、と思っています。顔見知りレベルのゆるやかなつながりを多くの人と結んでいくことで、いざ困ったときに相談できる・手を差し伸べることができる、そんな関係が出来上がっていくのが理想です。50年先までこの空気感を残していけるように、「人と人との接点」を生み出す場所を今後も維持していけたらと思います。

クリスマスシーズンに登場する竹製の「バンブーツリー」(写真提供=西部ガス)

第3章(未来):12月、次の灯りを、日の里大通りへ

「日の里ストリートウィンターマルシェ」チラシ

12月には、これまで日の里で脈々と受け継がれてきた灯りを広げていくための新しい一歩として、社会実験「日の里ストリートウィンターマルシェ」が開催されます。コンセプトは「次の灯りを、日の里大通りへ」。日の里大通り沿いの土地と歩道空間を一体的に使うことで、カフェや出店ブースを設け、通りをただ通りすぎるのではなく、それぞれの時間を過ごす「居場所」へと変えていくことができるかどうかを、実証実験するものです。市民ワークショップで挙がった「こんなことをしてみたい」「大通りがこんなふうに使えたらいい」という住民の意見をもとに「誰かがまちを変える」のではなく、「みんなで灯りをつなぐ」そんな思いが、この取り組みの中心にあります。企画の狙いを担当者の宗像市都市再生課・濱村さんと前村さんに聞きました。

―今回の社会実験の概要を教えてください。

前村さん:大通りに面した一角と歩道の一部を実験空間として、ストリートカフェと出店ブース、歩道にはベンチを用意する予定です。出店ブースについては11月5日、市民ワークショップを開催し、「こんなことをやってみたい」という希望者を募りました。

―社会実験にお二人はどんな思いを持っていますか?

前村さん:大通り沿いの高層アパートのうち2棟が取り壊され、現在更地になっており、大通り活性化は今まさに本格化のタイミングです。今回の実験は、この大通りを「人が歩き、集い、滞在できる空間」として再生できるか、その可能性を再検証するものになります。

濱村さん:正直、何が起こるか、想像がつかない部分もありますが、今回の社会実験は、その「不確かさ」を受け入れながら進める挑戦的なアプローチです。宗像市は長年「ベッドタウン」と言われてきましたが、これからは単に寝に帰る町ではなく「ベッドタウンを超える価値」を生み出すまちにしていきたいので、この社会実験は試金石でもあると期待しています。

日の里学園8年生が作成した「未来の日の里大通り」の模型

―来場者に、どんなことを感じたり、体験したりしてほしいですか?

前村さん:今回のテーマは「あなたの“好き”で、まちを“面白く”」。行政主導ではなく、住民一人ひとりの「やってみたい」という思いを大切にしたいと考えています。あえて余白を残すことで、参加した人が「自分だったらこうしたい」と感じ、自然に関わりが生まれるような場にしたいと考えています。

―この社会実験の先に、どんな日の里の未来を描いていますか?

濱村さん:日の里のまちづくりのコンセプトとして「つくる」「ひろがる」「つながる」を掲げていて、今回の実験はその最初の「つくる」きっかけと位置づけています。この取り組みが将来的に「ひろがり」、地域の様々な活動と「つながっていく」ことで、再び大通りに「何かが行き交う」未来の風景が見えてくることを期待しています。

前村さん:特定の完成形を目指すのではなく、「受け継がれていくこと」自体に価値があると思っています。日の里の皆さんのまちづくりへの熱い思いや、よりよい未来を子どもたちに手渡すための地道な積み重ねを、行政としてサポートしていきたいと思います。

第4章:物語の続きを、一緒に創りに行こう。

よりよい地域の未来は、誰かが作ってくれるものではありません。住民一人ひとりの「こんな場所になったらいいな」という思いとアクションが集まって、地道に少しずつ実現していくものです。そんなまちづくりを半世紀以上実践してきた日の里が、今また新たな挑戦に向かっています。ぜひ「新しく何かが動き出す瞬間」に一緒に立ち会いませんか?「自分だったらこうしたい」そんな思いを持ち寄って、クリスマスムード溢れる日の里大通りにぜひお立ち寄りください。

宗像市都市再生課・濱村隆さん(左)と前村杏季さん(右)

INFORMATION

イベント名:日の里ストリートウィンターマルシェ
開催日:12月12日、13日、14日
開催時間:10時~19時。13日のみ21時まで。
開催場所:日の里大通り内駐車場
詳細リンク:宗像市役所ホームページ

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