狩猟・ジビエ普及団体「ジビエポケット岡垣」が11月26日、設立1周年を迎える。
岡垣町で猟師として活動する高野誠さんが代表を務める同団体は、町内の有志10人で組織。有害鳥獣駆除に携わる猟師の現場を支え、地域の自然と暮らしを守ることを目的としている。
高野さんによると、メンバーの多くは自ら山や畑を持ち、野生動物との距離が近いという。捕獲された個体の多くが流通の仕組みや処理体制の不足から廃棄されてしまう現状や、農作物被害の深刻さを背景に「自分たちの手で地域を守らなければならない」という思いが、設立の大きな理由になったという。
メンバーの中には解体や調理に精通する者もおり、技術共有や研修を重ねることで「廃棄ゼロ」を目指した取り組みを進めている。処理技術を学ぶことで、下処理の難しさから敬遠されがちなジビエ料理の魅力を伝える場をつくり、地域内に知識とスキルを持つ人材を増やすことも活動の柱となっている。
11月29日は1周年の節目を記念して、団体初の体験型イベント「獲る・食べる・学ぶ 狩猟体験ツアー」を「屋内多目的施設すぱーく岡垣」(岡垣町高倉)で開く。
同ツアーでは参加者が、猟師とともに森へ入り痕跡を探すアニマルトラッキング、子ども向けのジビエクイズ、大人向けのイノシシ解体講座、ジビエバーベキューなどを通して「命の循環」を学ぶ。
高野さんは「ジビエ料理は適切に処理すれば臭みはほとんどなく、驚くほどおいしい。命をいただいて食べることで、本当の意味での『いただきます』という感謝が生まれる。まずは活動を知ってもらい、命と自然のつながりを多くの人に感じてほしい」と話す。