
宗像市立吉武小学校で5月30日、「おはなし会昔っコ」によるお話会が開かれた。参加した3・4年生の児童は、ろうそくの明かりの中、物語の世界に引き込まれた。
わらべうた、記憶している物語を語る「ストーリーテリング」、絵本の読み聞かせ、本の紹介を組み合わせたお話会を行っている同団体。この日は「柳川のかぞえうた」を歌った後、電気を消した教室でストーリーテリングを行った。「食わず女房」や「スヌークスさん一家」の語りに、子どもたちは笑ったり驚いたりしながら耳を傾けた。絵本の読み聞かせでは「八方にらみねこ」を読み、最後に関連する本やお薦めの本を紹介した。
同団体は2000(平成12)年に梅田惠子さんが立ち上げた。梅田さんは35年前から学校での読み聞かせを続けており、学びを深める中でストーリーテリングに出合ったという。現在では、図書館で開く講座を通じて多くの語り手仲間が集い、年間約500回のお話会を開催している。
昨年、梅田さんは「子ども文庫功労賞」(伊藤忠記念財団)を受賞。子どもの読書啓発活動に尽力した人に贈られる賞で、梅田さんは「この受賞をきっかけに、活動を周りに伝えていこうと思うようになった。応援してもらえることが増えた」と振り返る。
現在は宗像市内の小学校8校と福津市の小学校1校、保育園、児童館、大学などでも活動を行っている。梅田さんは「学校の先生たちが広めてくれたおかげで、25年続けることができている。学校という公平な場所で、子どもたちが昔話に触れられることに意味がある」と話す。
「先人たちのメッセージが詰まった昔話を、『読む』のではなく『語る』ことにこだわっている。語りはコミュニケーション。耳で聞いて考えるものではなく、心で感じるもの。主人公を通してさまざまな世界を知り、たくさんのイメージを持つことが、自分の人生を選び取っていく力につながる」とも。