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宗像で認知症希望大使が講演会 市が「安心して認知症になれる町」目指し企画

講演会の様子

講演会の様子

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 「認知症希望大使」の丹野智文さんによる講演会が5月16日、宗像ユリックス(宗像市久原)で開かれた。

「こんな町になったらいいな」をテーマに来場者が寄せたメッセージ

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 丹野さんは39歳の時に若年性アルツハイマー型認知症の診断を受けた。現在は厚生労働省から「認知症希望大使」に任命され、認知症当事者の声を発信している。

 講演会を企画した宗像市高齢者支援課の吉田育代さんは「2025年には65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症になるといわれ、宗像市では市内の小学生の人数と同じ約6000人が認知症になると予測されている。市では認知症本人が思いや希望を語る場『本人ミーティング』開催などの啓発を行っているが、『発症すると何もできなくなる』というネガティブなイメージは根強い。『認知症になっても希望を持ち、自分らしく暮らす』という明るいイメージが広がれば」と話す。

 講演会には360人が来場した。第1部では「地域の中で暮らしていくこと」と題して、2地区が取り組みを発表した。東郷地区「やよい東郷」からは、認知症について地域全体で正しく理解することの重要性と、認知症であるかどうかに関わらず、一人一人できる事、サポートしてほしい事を考えていく必要性について紹介。赤間西地区「大谷慶人クラブ」は、クラブのメンバーが認知症になった後も、変わらない1人の仲間として本人の意思をかなえられるよう、地域で支えながら暮らした実例を紹介した。

 第2部では、丹野さんを交えたトークセッションを行った。丹野さんは「『認知症だから』と先回りせずに、本人の意思を聞いてほしい」「今までと同じように接してほしい」など当事者目線からの思いを話したほか、「『助けてあげる』というスタンスより、当事者が『助けて』と言い出せる環境や関係性を作っていくことが大切」という話から、「ヘルプカード」活用の紹介も行った。

 会場では、来場者が「こんな町になったらいいな」という希望を書く時間を設け、「どんな病気や障害があっても、自分で生き方を選べる町」「一人一人がありのままで暮らせる町」などの意見が寄せられた。

 吉田さんは「丹野さんから、『認知症に限らず、誰もが助けてと言える町になるよう一緒に頑張りましょう』というメッセージを頂いた。来場者の皆さんから頂いた声も大切にして、これからも取り組みを拡充していきたい」と意気込む。

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