甘夏ウニ丼が5月3日・4日、宗像漁協大島直売所「さよしま」(宗像市大島)で販売された。
近年、大島近海で気候変動によりムラサキウニが大量発生し海藻が枯れてアワビなどが育たないことから、宗像漁協大島支所は駆除区域を設けてウニを駆除し藻場の保護と再生に取り組んでいる。
同支所ではウニの陸上養殖を昨年から試験的に開始。駆除区域に生息するウニを大島の中間育成施設で養殖し、島の特産品である「甘夏ミカン」の果皮を給餌する実験を行っている。
今年はゴールデンウイークに合わせて「甘夏ウニ」を提供できるよう、昨年よりも早めにウニを駆除し中間育成施設に入れて飼育してきた。同支所長の花田梨香さんは「冬季の冷え込みなどもあり温度差が成長に影響するなど、デリケートで陸上養殖の難しさもあった」と振り返る。
「甘夏ウニ丼」は甘夏ウニのほか、アカモク、ヒラスの刺し身をのせて販売。冷蔵ケースには、自宅でウニ丼を作って食べられるように殻付きウニや身を取り出したウニも並べた。甘夏ウニを食べるために来島したという男性は「提供時には甘夏の香りは感じなかったが、口に入れるとウニのうまみとともに甘夏の風味が広がり、おいしかった」と笑顔を見せる。
「昨年の甘夏ウニは調理中から甘夏の香りが広がって印象が強かったが、今年の甘夏ウニはそこまで香りが強くなかった。個体差もあるだろうが不思議」と直売所スタッフの沖西亜紀さん。花田さんは「駆除したウニの活用として今後も、この実験を継続して行うことで、これからのブルーカーボンの取り組みにつなげていきたい」と意気込む。