特別展「国宝と現代の名匠 三右衛門」が10月1日、宗像大社(宗像市田島)の神宝館で始まった。
沖ノ島に掲げられ敬虔(けいけん)な信仰により守られてきた宗像大社が所蔵する国宝と、「伝統と創意の融合から生まれた至宝」といわれる「肥前の三右衛門」有田焼の十四代今泉今右衛門さん・十五代 酒井田柿右衛門さん、唐津焼の十四代中里太郎右衛門さんの作品が共演する。
同展では、国宝「金銅製龍頭一対」と十四代今泉今右衛門さんの作品「色絵墨色墨はじき麗蓉文麒麟香炉」が並び、伝統技法の一つである「墨はじき」という技法を独自に発展させた「雪花墨はじき」、先代が確立した「吹墨(ふきずみ)」「薄墨(うすずみ)」の技法を組み合わせて雪の結晶文様を表現した「色絵薄墨墨はじき時計草文」も展示する。
このほか、乳白色の素地に赤絵(色絵)を施す「濁手(にごしで)」という伝統的な技法を使い、「余白」「非対称の構図」「色彩」を生かした作品を制作する、十五代酒井田柿右衛門さんの「濁手松文鉢」や唐津の地で400年以上続く歴史を持ち、伝統的な「井戸茶碗」や中里家伝来の叩き作りによる壺(つぼ)などと合わせて、唐津にはなかった中国の技法を使ったかき落としの作品などを制作する、十四代中里太郎右衛門さんの「唐津太郎右衛門青掻落し壺」など、合わせて103点を展示する。
国宝と共演の内覧会を経て、三右衛門は「今まで国宝との展示はなかったので、非常に面白い陳列になっていてうれしく見させてもらった」(酒井田柿右衛門さん)、「これだけの展示会を三右衛門がそろってできるのはいい」(中里太郎右衛門さん)、「それぞれ方向性が違うところがあるので、自身の感覚で素直に見て楽しんでほしい」(今泉今右衛門さん)と話す。
同展を記念して、国宝を元に三右衛門がそれぞれの思いで制作した豆皿を限定販売するほか、ギャラリートークも行う。10月21日=十四代中里太郎右衛門さん、2024年1月7日=十四代今泉今右衛門さん、2024年1月21日=十五代酒井田柿右衛門さん。
開館時間は9時~16時30分。入館料は一般=800円、高校・大学生=500円、小・中学生400円。2024年2月4日まで。