宗像大社(宗像市田島)から皇室へ若布(わかめ)を献上するための出発式が4月11日、福岡空港で行われた。
宗像大社から皇室へ若布を献上するのは、今回で60回目を迎える。始まりは1963(昭和38)年。宗像七浦(大島・鐘崎・勝浦・地ノ島・津屋崎・福間)の漁協が「宗像大社海洋神事奉賛会」を結成し、皇室のご安泰と聖寿の長久万歳を祈念して始めた。
献上される若布は、地島の沖合で採取される今年初摘みの「地島天然わかめ」。肉厚でうまみが強く、緑濃く、香りが強いことで知られる。今年は3月1日に若布漁が解禁され、献上用はそれより少し前から採取を始め、一番質の良い若布の先の部分のみを使う。生の若布600キロほどを採取し、乾燥させて30キロほどになったものをいったん、宗像大社へ奉納。巫女(みこ)が形を整え、100グラムずつに袋詰めし、その中から「厳選した」10キロほどを杉箱へ収め、皇室への献上品とする。
コロナ禍のため上京して直接献上することは控えていたが、今年は3年ぶりに再開。宗像大社関係者と漁協関係者が宮内庁へ直接献上し、宮内庁を通じて、天皇皇后両陛下、上皇上皇后陛下、秋篠宮皇嗣同妃両殿下、三笠宮家、高円宮家、常陸宮家、寬仁親王妃信子殿下へ献上申し上げるという。
宗像大社権禰宜の黒神さんは「3年ぶりに宮内庁に出向き献上できることをうれしく思う。60回目を迎えた献上を途絶えさせることなく、後世に引き継ぎ伝えていくことができれば」と思いを語る。