木の歪みやひびを生かした作品を作る木工家の中元リョウジさんが宗像市山田に工房を構えて4月で4周年を迎えた。
元々は建築の仕事をしていた中元さん。木工家具が好きで、仕事の傍ら木工の基礎を学ぶ講座を受講したり、友人の工房を手伝ったりしていたが、39歳の時、「自分の本当に好きなことをやりたい」と一念発起。木工を学ぶため田川高等技術専門校に入学し、卒業後、直方市で独立。4年前に恩師の工房を引き継ぐ形で宗像市に工房を移した。主に無垢(ムク)材のオーダー家具を作っていたが、木工旋盤の面白さにのめり込み、「より身近な、暮らしに寄り添う作品を作りたい」と昨年1月から、本格的に皿やコンポート(菓子置き)、一輪挿し、ランプシェードなどを作るようになった。
大きな特徴は、木の歪みやヒビ、虫食いなど木の特徴を生かした作品作り。ひびが入った部分は金属の鎹(かすがい)で止めたり、歪みや虫食いをあえて残して作品に生かしたりする。例えば、作品を作る途中で木の弱い部分は欠けることがあるが、それを「失敗」とは捉えず「木が欠けたくて欠けた」と考える。「自分一人で作品を作っているのではなく、木と一緒に作品を作っている感覚」と中元さんは話す。
中元さんは「木は削ってみないと内部にどんな傷や割れがあるか分からないし、ひびが入る場所も分からない。だからこそ面白いし、そういう木の自由な姿こそ『格好いい』と感じる。今後ももっと旋盤技術を高めると同時に、暮らしの中で使えて『飾って楽しめる』作品を作っていきたい」と意欲を見せる。
ギャラリー杜胡(宗像市稲元4)で4月18日まで、展示会を開いている。6月には福岡市平尾で展示会を予定。