宗像経済新聞は2021年12月の創刊以来、宗像周辺の「まちの記録係」としてさまざまな人と出会い、地域のハッピーなニュースを届けてきました。その中で感じた宗像の魅力の一つは「人」。宗像には出身を問わず「シビックプライド」を持った人が多く「宗像が好き!宗像に貢献したい!」という市民の熱意が地域を支えています。
本特集では宗像で活躍する人を「むなびと」とし、「むなびと」が活動や事業を始めたきっかけ、活動・仕事に対する思い、これから宗像でかなえたい夢などについて紹介していきます。今回は「菓舗木村」店主の木村光富使さんに話を聞きました。
「菓舗木村」店主の木村光富使さん
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宗像には元々宗像大社の朔日(ついたち)参りをしに毎月天草から通っていました。以前から、妻と「どこかに移住したいね」と話していたのですが、長女の高校受験を機に移住することを決め、家族で宗像に引っ越してきました。天草の店はそのままにしてありますし、家族で引っ越してくることはもちろん大変でしたが、皆宗像が気に入っています。今でも毎月朔日参りは欠かさず行っていて、どら焼きの奉納にも行っています。
朔日参りの様子
当店のどら焼きは「あん」を食べさせるどら焼きだと思っています。小豆は一粒ずつ選別し、煮えにくい豆などは除去しています。あん作りも、普通は練って作りますが、当店では蜜をあんにかけて豆に蜜を染み込ませ、熱していきながらあん練りを行っています。鍋の肌に蜜が跳ねると焦げてしまう。それをそのままにしておくと焦げの香ばしさがあんの風味に勝ってしまい、おいしくなくなる。なので、鍋肌に跳ねた蜜をふく作業も行います。香ばしさがないあんなので、当店のどら焼きは風味があってコーヒーにも合います。「小豆粒あん」「白粒あん」の2種類のどら焼きを作っていて、それぞれのあんの製あん方法も異なります。豆の選定から製あんまでは約6時間かかります。
一粒一粒、豆を選別する
ゆでた豆に蜜をかけながら練っていく
鍋肌に付いた蜜を取り除くことで香ばしさがないあんに仕上がる
一度に約250個作れるぐらいの生地を作っています。同じ分量で仕込んでも、季節によって水の量が変わったり、生地の硬さが変わったりするので年間で結構差があり、同じ量を仕込んでも270個焼ける時と240個しか焼けない時もあります。生地を焼く時は五感を使って焼いています。生地を垂らした音で大体の温度が分かりますが、自分自身にも波があるので、調整しながら焼いていきます。豆の選別から、どら焼きの完成までは約14時間かかります。
生地を作る木村さん
五感を働かせながら生地を焼いていく
火力を調整し、均一な焼き具合に仕上げる
完成した宗像どら焼き「白粒あん」
宗像に来たきっかけにもなりますが「宗像に来たら宗像どら焼き」と買ってもらえるようになるのが夢です。宗像大社好きで宗像に移住してきたのでいずれは宗像大社でも販売したいですね。
ユーチューブ動画
【むなびと】豆の選別から14時間。究極のどら焼きができるまでに密着
