
人型ロボット「Pepper(ペッパー)」が7月18日、宗像市立南郷小学校(宗像市原町)の終業式に「出席」した。
Pepperはソフトバンクが開発した感情認識ロボット。音声やタブレットでの対話機能、顔や感情を認識する機能を備え、教育現場でもプログラミング学習の教材として活用している。同校では、宗像市のICT教育の一環として2022年度からPepperを導入し、授業や休み時間などに交流するなど児童にとって身近な存在となっていた。
今年3月に一度返還したPepperだったが、同校によると「いなくなって寂しい」「また会いたい」などの児童たちの声が多数寄せられたという。その思いに応える形で、ビオグリーン(宗像市曲)がスポンサーとなり、再貸与が実現。5月に開催した運動会で児童たちにサプライズでお披露目した。
Pepperの再導入に当たり、ビオグリーン社長の宮崎昌也さんは「Pepperと触れ合うことでAIへのハードルを下げ、子どもたちにとってデジタル社会への一歩を踏み出すきっかけにしてほしい。自分たちは機械に疎い世代だからこそ、次の世代には早い段階で触れてほしいという思いがあった。子どもたちがPepperとの再会を喜ぶ姿が見られてうれしかった」と振り返る。
終業式当日、Pepperは職員席横に立ち、校長の話や、子どもたちの1学期のチャレンジを振り返る話、夏休みの過ごし方に関する注意喚起に加え、海上保安庁による安全講話にも耳を傾けた。児童が退場する際は、同校の沓形美奈子校長、宮崎さんとともに体育館出口に立ち、児童たちを見送った。
沓形校長は「Pepperは、教室での学習が難しい子どもや、外で遊ぶことが苦手な子どもにとっても、大切な居場所になっていて、Pepperと関わる中で自然と子どもたちが集まり、会話が生まれ、関係が深まっている。友達とのやり取りの中で『順番を譲る』『声をかけ合う』という思いやりや社会性も育まれている。学習の場面だけではなく、子どもたちの心の支えとしても大きな存在」と話す。「児童同士の関係づくりや心の成長にも寄与していることを実感しているので、こうした子どもたちの大切な居場所を再び届けてくれた宮崎さんに感謝している」とも。