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宗像・場面緘黙症で不登校の小学5年男児 ゲーム講師を仕事に新たな一歩

ゲーム講師の太田海夏人君(右)と母の安奈さん(左)

ゲーム講師の太田海夏人君(右)と母の安奈さん(左)

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 宗像市在住の小学5年生、太田海夏人(みなと)君がオンラインゲーム講師の仕事を始めて12月4日で1カ月がたった。

対面コーチングの様子。さまざまな世代が生徒として受講する

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 海夏人君は、家族の前では話せるが、小学校など特定の場所では話せなくなってしまう症状から小学4年の時に「場面緘黙(かんもく)症」の診断を受けている。小学3年の春からコロナ禍となり、長期休校になったことがきっかけで小学校に通えなくなったころ、オンラインゲームに出合ったという。

 一時はゲームのし過ぎで体調を崩したことから、自らプレー時間を見直し、ほどよい距離感を保ちながら徐々に腕を上げていった海夏人君。一方で、母の安奈さんは「学校にも通えず、他にやることもなく、モチベーションが保てていないように見えた」と当時を振り返る。

 転機が訪れたのは今年10月。妹が小学校からeスポーツジム「ON TOP esport gym」(福津市津屋崎8)のチラシを持ち帰ってきたことだった。ジムを訪ね、コーチに出会ったことで「ゲーム講師」という職業を知り、憧れるように。海夏人君のゲームの腕前がコーチも認めるほどだったことを知り、「仕事としてゲーム講師をしてみたら」と安奈さんが提案したところ、「やってみたい」と目を輝かせたという。自営業を営む安奈さんが集客のノウハウや仕事への姿勢を教え、海夏人君は11年間ためてきたお年玉22万円を使って生徒用のパソコンを購入するなど準備を進めてきた。

 教えるゲームは「フォートナイト」「マインクラフト」など。生徒のレベルに合わせて、実践しながらコーチングを行う。パソコンのほか、任天堂スイッチ、PS4などのゲーム機器にも対応する。

 最初の依頼は、「小学生の子どもにゲームを教えてほしい」というエジプト在住の日本人女性だった。このほか、不登校の小学生や「子どもにゲームで勝ちたい」という父親、県外から自宅まで学びに来た60代の男性など、さまざまな世代が受講してきたという。

 「コーチングをしている時は不思議と場面緘黙症の症状が出ず、驚いた」と安奈さん。現在は週3回同ジムで動画編集なども学ぶほか、週1回、小学校の通級指導教室にオンラインで通い、それ以外の時間を使ってコーチングの仕事を請け負う。

「好きなことを仕事にできて、人の役に立てることがうれしい。同じように不登校で悩んでいる子の助けになれば」と海夏人君。安奈さんは「本来なら、小学校に通えることが一番だと思っている。これまでもさまざまな葛藤があったが、息子が生きがいを見つけ生き生きとしている様子がうれしい。たくさんの方に応援していただき、息子も一歩踏み出すことができた。『こういう生き方もある』ということを知ってもらえれば」と話す。

 オンラインと対面のどちらにも対応。料金は60分1,100円~。申し込みはホームページで受け付ける。

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