ふるさとへの興味関心の向上、生き方や生活を考えるきっかけにつなげることを目的とした「偉人マンガの制作と活用事業」の漫画が完成した。
「宗像市偉人マンガ検討委員会」が力を合わせて制作期間約1年をかけて制作。
漫画完成に至るまでの話、担当者としての思い、今後の漫画の活用方法について聞いた。
(取材:宗像経済新聞編集長 中村昌史)
漫画完成おめでとうございます。
実際に完成した漫画を読んでみて、感想を教えてください。
宗像市経営企画課(制作時)
宗像市収納課(現在)
寺崎舞さん
ずっと調整してきたところにやっと命が宿るというか。
最初は構成や文字だけだったのが、こんなにすてきな本に仕上がって、とても感動しました。
最初は「漫画をどのような構成で作るのか」が一番苦労しました。
私自身が宗像出身であるのにもかかわらず、出光佐三について詳しく知らなかったからです。
「どのような生き方をして、社会にどのような功績を残したのか」を学ぶことからのスタートでした。
・好きなページはどこですか?
93ページの隠匿の話です。
宗像大社にたくさんの私財を投じ、神社の大造営や資料の編さんを行って、世界遺産登録の礎を作ってくれたにもかかわらず、宗像大社のどこにも名前を残さないところ。これは佐三が独立する時に陰で支えた日田重太郎さんの言葉や行動が影響していると思います。宗像のために貢献した佐三の姿をぜひ、見てほしいです。
・これから読む方へのメッセージをお願いします。
佐三の生家がある赤間地区出身の方々は学校教育の中で触れる機会がありますが、宗像出身の方でも知らない人は数多くいると思います。
宗像大社の世界遺産登録や福岡教育大学が宗像市にある背景にも佐三が大きく関わっています。そういった事実をたくさんの方にこの漫画を読んでもらって知ってほしいし、佐三の言葉や行動を知って、誇りに思ってほしいです。
佐三をモデルとしている映画「海賊とよばれた男」では、実業家として社員を守りながら時代を生き抜いた内容でしたが、この漫画では幼少期の話や宗像の歴史との関わりなどが描かれているので、この本を通じて宗像をもっと知ってもらえたらうれしいです。
目先の利益ではなく、一貫して「人のため」に行動していたからこそ、周りを巻き込む力や助け合いの精神が生まれて、事業が立ち行かない状況でも生き抜いた偉大な実業家なので、実際に事業をしている方、これから事業をする方にも読んでほしいです。
この漫画は地域での活用、学校教育に取り入れると伺っております。
具体的にはどのように活用される予定ですか?
宗像市経営企画課
山口 翔太さん
まずは、宗像市内のコミュニティ・センターに配らせていただきました。
宗像のまだ出光佐三のことを知らない人、とくに若い人にはこの本を通じて知ってほしいです。佐三は幼少期の頃に周りの人から教えられたこともあれば、大人になってから周りの人に助けられたこともある。そういう環境を地域で整えることが大事だと思っています。そのためにも多くの宗像市民の方々に佐三のことを知ってほしいです。
市内の小中学校の各クラスに配るように調整中です。漫画になっているので手に取ってもらいやすいし、大人になってからも思い出してもらえるような形で活用したいと思っています。今、教育委員会と活用方法についても検討していて実際に漫画を活用して授業してもらいたいと思っています。
・漫画はどこで購入することができますか?
取り扱うかどうかは本屋さんの判断にもよりますが、全国の本屋さんで購入可能です。
インターネットで検索していただければ、梓書院のサイトでも購入できますし、その他にも購入できるサイトはありますので、この機会に手に取ってもらえたらと思います。もちろん電子書籍でも購入することができます。宗像市役所1階の売店でも販売中です。
・漫画を活用したイベントについて教えてください。
2024年11月に「海の道むなかた館」と「SUSTAINA.FES(サステナフェス)@イオンモール福津」で特別展を実施する予定です。
「海の道むなかた館」の特別展では門司の出光美術館と連携しながら開催したいと思っています。
漫画家や出版社の方に制作前には知らなかった佐三の魅力を会場で話していただきます。宗像市に住んでいる人はもちろん、市外にお住まいの方、佐三のことが好きな人にも来てほしいと思っています。石油業界の佐三だけではなく、宗像にこれだけ貢献した偉人がいたことを漫画から知ってもらえたらうれしいです。
この2つのイベントだけでなく、今後も漫画を活用した取り組みを実施したいと思っています。