教科書では学べない「郷土ゆかりの偉人」に関する漫画を制作し、ふるさとへの興味関心の向上、生き方や生活を考えるきっかけにつなげることを目的とした「偉人マンガの制作と活用事業」に本年度、宗像市が取り組んでいる。
今回、宗像市が制作する漫画の主人公は出光興産の創業者である「出光佐三」。百田尚樹さんが書いた歴史経済小説「海賊とよばれた男」の主人公のモデルとなった人物で、「石油王」とも呼ばれていた。出光佐三は武士道的経営を貫き、事業はお金や権力のためにするのではなく、「人間尊重主義」「大家族主義」を大事にしていた。
実業家として有名な出光佐三は宗像に縁があり、宗像市外の方々に広く伝えていきたいという宗像市の思いから「宗像市偉人マンガ検討委員会」が発足し、制作が始まった。
今回、漫画の制作過程について、宗像市偉人マンガ検討委員会の担当者に聞いた。
(取材:宗像経済新聞編集長 中村昌史)
梓書院 営業主任/広報
井上恵さん
漫画制作の依頼を頂くことは多いのですが、福岡県内での制作は多くはありませんでした。九州では長崎や佐賀での依頼が多く、私が福岡県出身ということもあり、福岡県での偉人の漫画制作に携わらせていただくことになりうれしかった。私にとって初めての漫画関係の仕事ということもあり、気合いを入れて頑張らせていただいています。
実業家としてだけではなく、自分の生まれ育った地域に対しても熱い思いで貢献されているので、「すごく熱い方」という印象が一番強いですね。
私はシナリオを書かせていただいたのですが、そこが一番大変でした。出光佐三の資料はたくさん残ってはいたのですが、地元に関しての資料が少なく、あったとしても事実なのかどうかの判断が難しくて時間がかかってしまいました。ですが、そこに一番やりがいを感じていて、出光佐三の歴史をたどっていく楽しさを感じながら、多くの方に「出光佐三について伝えていきたい」という思いが強くなっていきました。
宗像に対しての内容が多いので、出光佐三について書かれている今までの本と大きく違うところです。実業家としての出光佐三だけではなく、地元への思い、土地への思いなどを、本を通じて感じてほしいです。
現在の制作段階では漫画のネームが出来上がってきていて、漫画のイメージが少しずつ感じてもらえていたと思います。今日参加していただいた漫画製作委員の方々にも喜んでいただいて良かったです。
漫画のような画として出光佐三を書かれた作品はないと思うので、完成を楽しみにしてほしいです。
宗像市経営企画課
寺崎舞さん
映画「海賊とよばれた男」で出光佐三という名前は知ってはいるけど、宗像との関わりは多くの方が知りません。最近の子どもたちは、出光佐三が誰なのか、何をした人なのかも知らない子どもが多いです。その中で、今回の漫画を読んでもらうことで出光佐三が宗像という地にしたこと、功績などを宗像市内外問わず知っていただきたいと思い、制作することにしました。
正直、今までは赤間の出身ということしか知らなかったのですが、今回制作を担当させていただくことになって出光佐三について調べたり、赤間地区の実際の場所に行ってみたり、本をたくさん読んだりして、自分自身が出光佐三の魅力に引き込まれていきました。
「今の宗像のここは出光佐三さんがしてくれたおかげでこれがあるんだ」というのがたくさんあって、知れば知るほど出光佐三のことが好きになっていきました。このことを大人だけではなく子どもにも知ってほしいと思います。
全部です。ちょっと選べなくて。(笑)
シナリオを読みながら考えてみたのですが、選ぶのは難しいですね。ただ、宗像との関わりについては色濃く描かれているので、宗像の風土や歴史、家族とのつながり、実業家になった後に宗像に恩返しをしてくれたこと、たくさんあります。(笑)
本当に、ちょっとウルッとくるぐらいネームを見て感動しました。
最初の漫画の構成に関しては私が担当させていただき、その後に井上さんにシナリオを書いていただきました。井上さんとはメールで何度もやり取りをさせていただいたので、シナリオを書き上げるのは大変だったと思います。早く皆さんに見てほしいですね。完成が楽しみです。