「松下うみ・刀根正三写真展『Tone-Base(トネベース)~隔世のphotograph~』」が12月1日、「Tone Base」(岡垣町波津)で始まった。
岡垣町を拠点に活動する写真家の松下うみさんは、祖父の故・刀根正三さんが1970(昭和45)年に建てた農機具小屋をリノベーションする再生プロジェクトを、建築家の岡村修さんと共に2023年8月から行っている。松下さんによると、老朽化により解体の話も出ていた小屋だったが、古民家カフェ「やこりんご」(高倉)のリノベーションを手がけた岡村さんと知り合ったことで、残すことを決意。知人から「イベントで使わせてもらいたい」と声をかけられることも増え、「自分でも何かできるかもと思うようになった」と振り返る。
「祖父は中州で外国人向けのバーを経営しながら、二眼レフカメラで街並みや人々を撮るのが趣味だった。祖父が撮った写真をきっかけに、写真家を目指すようになった」という松下さん。「当時来福したマリリン・モンローを映した写真はとても貴重なものだと思い、もっとたくさんの人に見てほしいと思った」と開催の経緯を話す。
展示するのは刀根さんが撮影した昭和20年代の博多の街並みや人々の写真。松下さんが同じ場所で撮影したものや、波津海岸の情景、ポートレート、風景写真も並ぶ。
松下さんは「魔法使いのような岡村さんが、廃材をメインにリノベーションしている会場自体も楽しんでもらえるとうれしい。岡村さんは冷蔵庫の中の余り物でご飯を作ってくれるお母さんのような温かさもあり、建築のことだけではなく生きるための技術やメンタルも学ばせてくれる人」と笑顔を見せる。「この写真展が、私の原点である祖父の存在やこの波津の地を知ってもらえる一つのきっかけになれば」とも。
開催時間は11時~16時。入場無料。今月19日まで(6日、7日、10日、11日、14日は休廊)。